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2019年 1月 21日

日本野鳥の会の保全活動

今日の生態学IIの授業では、日本野鳥の会保全プロジェクト推進室の田尻浩伸室長に来ていただきました。

日本野鳥の会と言えば、紅白歌合戦でカチャカチャ数えていた人たちね、と言われることが多かったのですが、最近の学生はそもそも野鳥の会をあまり知らなかったようで、軽くて折りたためる便利な長靴を作っている団体というイメージだったようです(確かに実習で学生がよく使っています)。

実際は、近年増えている風力発電に対する提言や保護区の制定、希少種保全や密猟対策など、普及啓発から自然保護活動に至るまで、野鳥に関する実に幅広い取り組みをしている自然保護団体です。今日はその中でも特にカンムリウミスズメ保護プロジェクトについてお話ししていただきました。

カンムリウミスズメ

カンムリウミスズメは全長24 cmほどの小さな海鳥で、ペンギンを小さくしたような可愛らしい風貌をしています。世界的に見ても日本近海にしか生息しておらず、個体数も少なく絶滅危惧II類、天然記念物に指定されています。

彼らは一生のほとんどを洋上で過ごし、無人島を繁殖地としているため、その生態は未だ謎に包まれていますが、保全するためにはまず基礎的な繁殖生態を調べる必要があります。田尻さんたちはセンサーカメラやGPSロガーなどを活用して、カンムリウミスズメが巣に戻ってくる時間を特定し、明け方まだ暗いうちから漁船に乗って個体数を数えるなどの地道な調査を重ねています。

DSC_0665

カンムリウミスズメは岩の隙間などで繁殖しますが、営巣に適した場所が少なかったり、カラスやネズミなどに襲われてしまうことがあります。そこで、人工巣を設置して繁殖成功率を改善しようとしたそうですが、なかなか使ってくれず、なんと6年も試行錯誤を繰り返したそうです。前例がなく手探り状態で始めた活動がようやく実を結んだのは2016年のこと。世界で初めて人工巣での繁殖に成功したそうです。

カンムリウミスズメの雛は孵化後すぐに巣から出て、まだフワフワのヒヨコ状態で洋上に旅立ちます。その際、雛は崖から海に「飛び降り」ます。種類は違いますが、その場面はこんな感じです。

すごいですよね・・・。カンムリウミスズメのビデオは、野鳥の会のYouTubeアカウントで。

学生たちには、日本の自然を守っている野鳥の会のような団体についてもっと知ってもらい、さらには会員になって環境を守ることに少しでも貢献してもらいたいと思いました。日本野鳥の会の年会費は5000円。ひと月あたり、たった約400円。それで日本の動植物を守る活動に少しでも貢献できるって、素晴らしいことですよね。

(沖)

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