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2018年 12月 10日

うんこのDNAと保全の関係

生態学IIの授業、今回は国立環境研究所生物・生態系環境研究センター安藤温子研究員に講演していただきました。

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安藤さんが研究しているアカガシラカラスバトは、一時は数十羽ほどしかいないと言われていた希少な種です。個体数を回復させて絶滅の危機から救うためには、彼らが普段何を食べているのか?ということを知る必要があります。

ただ、動物たちは普段何を食べているか?という一見ごく単純な問題、実は調べるのはそう簡単ではないのです。直接観察しても追いかけられなかったり、食べているものが小さいと見えなかったり。糞を見てみても、細かく粉砕されていて種の同定が難しかったり、消化されてしまって形すら残っていないことも。

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そこで役立つのが、うんこのDNAなんです。うんこの中に含まれているDNAと、現地で採集した餌生物のDNAとを照合しすることで、何を食べているのかを知ることができるのです。この技術はDNAバーコーディングといって、解析技術が進歩した最近ではよく用いられている手法です。

安藤さんは小笠原に何年も通い詰めて、600個以上のアカガシラカラスバトのうんこを採取しました。そしてその中のDNAを調べてみると、彼らがなんと100種類以上もの多様な植物を餌として利用しており、時期によってはその大半を外来種に依存していることも分かりました。安藤さんの小笠原での話は「はじめてのフィールドワーク 日本の鳥類編」にまとめられているので、興味のある人は是非読んでみて下さい。

小笠原では外来種が在来種の生息を脅かしており、外来種駆除事業が積極的に進められています。しかし、安藤さんの結果から、外来種を利用している希少種がおり、単に全て駆除すればよいという単純な問題ではないことが明らかになったのです。悪者のイメージが強い外来種ですが、従来の生態系に組み込まれて在来種との新しい関係が成り立っていることもあるのです。

学生たちにとってDNAは進化の話や警察の犯人探しのイメージがあるからか、保全に使える技術だというのが驚きだったようです。今後こうしたDNAを使った調査は、一般的になっていくことでしょう。それでも、DNA分析はあくまでも補助的なもので、一番大切なのは野外で直接動植物を見ることだと安藤さんは仰っていました。

(沖)