2018年 11月 12日
銀星カラムクドリ
この時期、夕方になると駅前の街路樹などにムクドリやハクセキレイ、スズメが大群で集まってくる光景が見られます。
これは塒(ねぐら)といって、鳥たちが外敵から身を守ったり、暖をとったり、情報交換のために集まるのだと言われています。
塒入りする時には、いきなり塒となる木に入るのではなく、一度塒の近くの電線や建物に集まって、何やらガヤガヤと過ごす光景が見られます。これを就塒前集合(しゅうじぜんしゅうごう)といいます。そんな就塒前集合を観察していると、時々珍しい鳥が混じっていることがあります。
自宅から見える鉄塔には、夕方になると数百羽超のムクドリが集まってきます。先日、何気なく観察していると、ムクドリより小さめの白っぽい鳥が混じっているのに気づきました。どこにいるか分かりますか・・・?
周りの仲間とは違うことを自覚してなんとなく居心地が悪いのか、遠慮がちにムクドリの群れの端っこのほうにいました。背を向けたら見えた、特徴的な白い肩。
なんと、カラムクドリ!石垣などでは冬鳥として毎年少数が渡来するのですが、本州ではかなーり珍しいヤツです。もしや県初記録か?と思って調べたら、実は去年もこの近くで記録されていたようでした。もしかしたら、同じ個体なのかもしれません。写真には撮れませんでしたが、これまた本州では珍しいギンムクドリも1羽混じっていました。貴重な記録なので、早速地元の野鳥の会に観察記録を送りました。
ムクドリの仲間では、他にもホシムクドリが分布を広げて来ており、今後の動向に注目です。ムクドリの群れは、その騒音と糞害で嫌われることも多いですが、こういった変わり種が混じっていることもありますし、個体同士のやりとりが面白いので、今度見かけたら是非じっくり観察してみてください。
身近で何か面白い発見があったら、そのまま記録を眠らせるのではなく、地元の野鳥の会や博物館、環境省のいきものログなどに積極的に観察記録を送ってみてください。そうした記録は、分布の拡大縮小など各種調査研究の貴重な基礎データとして、将来きっと役に立つはずです。
(沖)