シンコム3号の備忘録
実習で屋久島に赴いた際、不思議なものを発見した。
それは、いつものようにスーパーの食料品コーナーを徘徊している時だった。
菓子パン好きの私は南九州エリアでは池田パンのチェックを欠かしたことがない。
まずは定番のキングチョコを手に取り、買い物かごに入れた。
これが無くては明日が始まらない。起き抜けの”おめざ”には最高である。
直前にキリンを見て、さらに明日の朝一甘味を確保出来たことで私のテンション
はピークに達した所であった。その一瞬後に私の視線は赤と青の輝きを捕えていた。
シンコム3号である。
昭和の匂いがするパッケージイラストが人工衛星シンコム3号であるらしい。
イラストの下の本体も奇を衒らった所はなく、ブッセ状のものが見る事ができる。
「食べよう」と前頭葉で何者かが囁いたようであったが別段気にすることなく
シンコム3号は買い物かごの中に納められた。
写真下は購入後のシンコム3号、昭和の香りがプンプンする。
パッケージを開封すると、昭和からtimeスリップしたかのようなシンコム3号の
本体を確認することができた。パッケージの外からはブッセ状に見えていたが、
その正体はどら焼きとアマショクの中間のようなパン生地でクリームを挟んで
いるというシンプルな構造であった。
一口含んでみると味には強い主張はなく、甘いバニラの香りが鼻腔を通り貫ける
とともに優しい甘さが味蕾から伝わってくる。コーヒーや紅茶、日本茶にも合う
に違いない。遠い昭和の昔に食べていたような菓子パンの趣を内包している。
屋久島にはそれぞれに断固とした固定ファンが存在する製パン店が存在するが、
そういった少量生産品のような素朴さがシンコム3号にはある気がする。
良く見れば復刻版とのこと。期間限定なら次に出会うことは無いかもしれない。
もし次に機会があれば、再び小さなタイムスリップを体験できるのだが。
※シンコム3号のパッケージを見ながら最後の欠片を味わっていると、脳裏にふと
「ワタシハカモメ」とつぶやくM1号の姿が浮かんで消えた。
S田