前回に引き続き、セミの羽化ネタです。今回の主役は、観察会に参加した1年生と、
ミンミンゼミの「ジョー」です。
まずは観察会の様子から。夕方の日暮れ前に地面を見て歩き、これから地上に出て
くるセミの幼虫を探します。初めての学生には、まず、穴の中の幼虫を探すことが
一苦労です。みんな一生懸命に穴をチェックして回ります
日が落ちて、辺りが暗くなるとあちらこちらでセミの幼虫が姿を現しはじめます
いくつか目星をつけていた幼虫のうち、一番はじめに羽化し始めた幼虫の周りに
学生が集まります。みんなものすごい集中力です。
この日は風が強く、枝葉がかなり揺れていたのですが、幼虫の背中が割れて、セミの
体が順調に出てきた時の出来事でした。羽化の途中で、まさかの落下事件発生!
学生はショックで動揺していました。教員(吉)と(石)も同様(?)です
本来の自然であれば、この個体は羽化に失敗し、そのまま死んでいるところですが、
近くの木の洞に移して、なんとか羽化させらないか試みることにしました。
さすがに洞に置いただけでは、正常に羽化できないので、ある程度体が出たところで
前足を指でつまんで角度を調整しました(セミは途中で頭を下にしないと正常に羽化
できません)
一人の女子が「私が木になるからお前も頑張れ、ジョー!」と言って、無理な姿勢で
じっとこらえます。腰痛持ちの中年教員(吉)には、とうてい出来ない作業です。
みんなも心配そうにジョーを見守ります。
みんなの想いを一身に集めたジョーは渾身のイナバウワーから、腹筋で体を起こし、
羽を伸ばし始めます。学生だけでなく、教員二人もこれには興奮しました。
きれいに羽も伸び、あとは固まるのを待つだけです。
セミの羽化は結構失敗が多いようで、野外では羽化途中で死んでしまった個体をよく
見かけます。
こんな風に一度落下した個体が完全に羽化できることは滅多にありません。羽化を
手伝ったことには賛否あるかもしれませんが、今回は羽化の仕組みも学生に教える
ことができたので、これはこれで良かったのではないかと思っています
学生も「諦めなければ何とかなるってジョーが教えてくれた!」と興奮気味に話して
いましたし、とても良い観察会になったと思います
ありがとう、ジョー!(でも、なぜ、ジョーなんでしょう?) (吉)