2019年 1月 16日
シジュウカラの言葉
今日の講義では、シジュウカラの言葉を研究されている東京大学の鈴木俊貴先生に来ていただきました。
かの有名なダーウィンでさえ、動物は、ヒトのような言葉や文法は持っておらず、ただ感情的に鳴いているだけだと考えていました。しかし、本当にそうでしょうか?バウリンガルやニャウリンガルが話題となったように、犬や猫、インコなどを飼っている人なら、彼らがヒトと同じように意思表示をする場面に出くわすこともあるのではないでしょうか。
それを科学的に検証することは簡単ではありませんが、鈴木先生は卓越したアイデアと巧妙な野外実験によって、シジュウカラがヘビやカラスに対して特定の「言葉」を持っていることを発見したり、他種の鳴き声をルー語のように混ぜても理解したり、実際に頭の中で外敵をイメージしていることまで突き止めました。また、それを聞いている側も、意味を理解して適切に行動できているようなのです。
これまでもいくつかの動物では、ある状況下で特定の鳴き声を発したりすることは分かっていましたが、シジュウカラのように複雑に情報伝達をしていることまでは分かっていませんでした。それが、鈴木先生の研究を皮切りに、今では世界中の研究者が様々な動物で検証しており、ヒトと同じように様々な「言葉」や情報伝達能力を持っていることが徐々に明らかになってきているのです。
僕は授業中に学生によく言うのですが、ヒトとその他の動物に、何も違うところはありません。彼らにも社会や文化、そして言葉さえあるのです。唯一ヒトが特殊だとすれば、それは大きな環境改変能力を持っていることくらいでしょう。
一昔前の翻訳機能はとても使えたものではありませんでしたが、今ではドラえもんの翻訳こんにゃくのように、リアルタイム翻訳できるツールで外国人と気軽に会話できる時代になっています。鈴木先生のお話を聞いていると、動物の言葉もそのうち翻訳できるようになって、いつか会話できる日が来るのでは!?と思えるほど、夢のあるお話しでした。
でもその前に僕に必要なのは、学生の若者言葉を理解する道具かな・・・
(沖)