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2024年 5月 31日

あいつ、光合成やめるってよ

今月、山梨県の増穂実習場近くで、ギンランのアルビノ(白色個体)をみつけました。

ギンラン(2024.05.18)

ギンランは白い花を咲かせるラン科キンラン属の多年草です。
一般的には上の写真のように葉や茎は緑色をしています。
しかし、実習地近くの雑木林に、このような通常の個体がぽつぽつとある中で、植物体全体が白色の個体が2つだけ生育していました。

ギンランのアルビノ(2024.05.16)

2022年以降、毎年訪れている場所でしたが、アルビノを観察できたのは今年が初めてです。
実習地滞在中に成長過程を観察してみました。

発見時(2024.05.12)
開花までもう少しの様子。

発見から4日後(2024.05.16)
大きい方の個体が開花。

発見から13日後(2024.05.25)
小さい方の個体も開花。

発見から18日後(2024.05.30)
花が萎れ、葉も一部が茶色く変色。

残念ながら実習の期間内では、以降の様子は確認できませんでした。
結実はせずに、このまま枯れてしまうのかもしれません。
また同じ場所に現れてくれるでしょうか。
今から来年が楽しみです。

ところで、今回観察できたような植物のアルビノは、葉緑素を持たず光合成ができません。
そのため、種子から発芽しても、ほとんどの場合は養分が足りずに枯れてしまいます。
では、なぜこのギンランのアルビノは、途中で枯れることなく花を咲かせるまでに立派に成長できたのでしょう。

その答えは、ギンランの共生菌との関係性にあります。
陸上植物の80%以上は菌類と共生し、菌類に光合成産物を与える見返りに、水や無機栄養分(リン酸など)を供給してもらっています。
一方、ギンランも菌類と共生していますが、他の多くの植物と異なり、水や無機栄養分だけでなく、体を構成するのに必要な糖類も共生菌に供給してもらっています。
通常の葉緑素を持つギンランは、自身で光合成をしつつも、共生菌から供給される養分に大きく依存して生活しているため「部分的菌従属栄養植物」とよばれています。

もともと共生菌を頼りに生きているギンランですが、アルビノのギンランは自身で光合成することすらやめて共生菌に完全に依存して生活しているのでしょう。
自分では仕事をせずにパートナーに養ってもらっている「ヒモ」のような存在なのかもしれません。
働かなくても甘やかしてもらえるなんて・・・
うらやましい限りです。

それにしても、周囲に葉緑素を持つ個体もある中で、なぜこれら2個体だけが光合成をやめてしまったのか不思議でなりません。
全面的に養ってくれる優しい(?)共生菌と巡り合えたのか、共生菌から一方的に搾取する技を身につけたのか、周囲の環境がそうさせたのか・・・
想像が膨らみます。

(ふみ)

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