2022年 12月 5日
これな~に?
最近、都内の某所で面白い物を入手しました。
まずはこの下の写真①~③を御覧ください。これがなにかお解りでしょうか。
写真①
写真②
写真③
写真を一見するだけでは、①はチョコクロワッサン?②はコガネムシの幼虫?③はダイズとそれに付く害虫?
実はすべて植物の種子です。それでは答え合わせです。
写真①はカラスウリです。果実は写真④を御覧ください。真っ赤な紡錘形の果実です。
写真④ カラスウリの果実
写真⑤ カラスウリの種子
写真⑤が拡大した種子です。種の形を大黒様や打ち出の小槌に見立て、財布に入れて縁起を担ぐことが有るらしいです。私にはチョコクロワッサンにしか見えませんが、とりあえず財布の入れてみます。
※大黒様として見る場合は写真⑤を逆さにしてみてください。
最近では、縁起担ぎ以外にグリーンカーテンとしての需要があるそうです。ただし、風流な花や美しい果実を見るためには種子から育てると3年ほどかかります。
おまけに雌雄異株なので雄雌の株を育てないと果実は望めません。種子からは雌雄は分からないので、種子から育てる場合は沢山播種しないと雌雄を揃えられません。
雌雄異株の植物の場合、実生で得られる個体の多くは雄株で有ることが多いので、確実に揃えたいのなら雌雄の分かっている株から枝を切り取り挿し木、または伏せ枝(曲げ取り)をすると良いでしょう。カラスウリの場合は、季節や状態にもよりますが、発根自体は容易です。
写真②はアオツヅラフジです。
写真⑥ アオツヅラフジの果実
写真⑦ アオツヅラフジの種子
写真⑦を見てください。コガネムシの幼虫が丸まったような形をしています。アンモナイトに似ているとの声もありますね。小さなスクリュー瓶に複数個入れておくと見応えがあります。
さてこのアオツヅラフジですが、一部の園芸家からは人気です。写真⑥の様に青黒く熟した実が房状についている様子が風情があるとされています。鉢植えや小品盆栽などにされるようです。ただし、この果実は有毒なので、口にしてはいけません。こちらの植物も雌雄異株なので、雄株には実が付きません。
ただし、中には両性花をつける個体もあるそうですから、地味な花ではありますが興味を持って見ていると両性花の個体を発見できるかもしれません。
写真③はサネカズラです。
写真⑧ サネカズラの果実
写真⑨ サネカズラの種子
写真⑨の様に、種子は平べったいダイズのようですが、よく熟した果実は赤く透き通り、ガラス細工の様で大変美しいです。写真⑧はまだ未熟のようですね。大昔は枝から抽出した粘液を男性用の整髪料として利用していたそうです。最近では観賞用や壁面緑化などで人気があるようで、町中でも見かける機会が多くなってきました。
この植物も雌雄異株ですが、中には雌雄同株のものがあります。この場合、花芯部の赤い雄花がまず開花して、2~3日後に花芯部が緑の雌花が開花してきます。確実な結実を目指す場合は、人工授粉をおすすめします。増やす場合は、種子を入手して育てるのも楽しいですが、雌雄異株のため性質の分かっているものを挿し木すると失敗は少ないでしょう。
今回掲載した果実は、全てここ最近2週間ほどに撮影したものです。秋はみのりの季節です。果実や種子を観察する好機(季)なので、どんどん野外へ観察に出かけましょう!
S田