2年次の実習は、学生主体の班活動が中心となります。専門的な技術の習得や一連の流れを把握するため、学校からの提供プログラムだけでなく、学生は班ごとに調査活動を企画し、実行します。しっかりと調査目的を定め、実習場では自分たちが立てた計画に沿って野外調査を実施します。調査を進める中で問題があれば、計画の見直しや変更を行うこともあります。最終的には、調査結果を報告書としてまとめ、発表を行います。将来仕事をする上で必要となる、「計画」⇒「実施」⇒「報告」という一連の流れを学生の内から身につけます。
2年次の実習の流れ
- テーマ班担当教員と相談しながら、調査活動計画を作成【錦糸町校舎】
- テーマ班ごとに計画に沿って調査活動を実施【増穂実習場】
- データ集計や標本作成など、調査活動のまとめ【錦糸町校舎】
- 1~3の繰り返し
- 年間の調査活動レポート作成と計画発表【錦糸町校舎】
植物班
実習場周辺で植生調査や毎木調査を行い、植物と環境の関わりを調べます。
【調査活動テーマ例】
「間伐跡地における植生遷移」
「池沼付近における外来植物の分布調査」
「ニホンジカによる植生への影響調査」
「水草の分布と土地利用の関係」
「棚田法面の植生比較調査」
哺乳類班
対象はネズミ類からニホンジカまで、目的に合った調査法の技術を身につけます。
【調査テーマ例】
「前年度と比較したツキノワグマの生息域調査」
「アナグマの巣穴利用状況調査」
「実習場における哺乳類相調査」
「鳥獣保護区内と保護区外に出現する哺乳類比較」
「ニホンジカの生息密度調査」
昆虫班
ビーティングやスイーピング、ベイトトラップにライトトラップなど、様々な調査方法を駆使して昆虫相の解明に挑みます。
【調査テーマ例】
「実習場周辺における鱗翅目調査」
「トンボ目生息状況調査」
「実習場における昆虫類相調査」
「標高による昆虫相の比較」
「過去の調査結果と比較した昆虫相調査」
鳥類班
ポイントセンサス法や猛禽類行動圏調査を用いて、実習場周辺に生息する鳥類相を調べます。
【調査テーマ例】
「標高別による鳥類相の変化」
「環境の違い、調査法の違いによる鳥類相の比較調査」
「猛禽類の営巣確認調査」
「環境と季節による鳥類相の比較」
「エコツーリズムを通じた鳥類相調査」
水生生物班
水生昆虫や魚、水草などの水中に生息する生物を捕獲・採取することによって、その河川や池沼の水質を調べます。
【調査テーマ例】
「水生生物の生息状況」
「実習場における水生生物と河川環境調査」
「水生生物相における在来種と外来種の生息状況」
「前年度と比較した水生生物の生息比較調査」
「水生生物から見る河川環境評価」
担当教員からのメッセージ
水島先生
増穂実習は、様々な動植物の知識を蓄える実習です。実習ではそれぞれの分野に分かれて専門的な調査を実施しますが、その中で多くの動植物に出会うことができます。自分が調べた動植物のことは、忘れることはありません。はじめは名前も分からないかもしれません。でも調査を繰り返すことで、徐々にそれらの知識は増えてくるはずです。そして実習中は一歩でも多く歩き、色々な動植物を観察してください。実際に野外で観察してみると、本や写真では気付かなかった特徴が見えてくるはずです。増穂実習では失敗を恐れず、何でもチャレンジしてください。
山際先生
動植物を学ぶためには、様々な季節や環境での調査が重要になります。増穂実習は季節を変えて複数回実施され、実習地周辺では低地から山地・止水や流水などの多様な環境があります。そのため、長期的に調査することで様々な動植物に触れ合えることが出来ます。動植物に囲まれた実習を一緒に楽しみましょう。