2025年 6月 12日
八ヶ岳のツクモグサ
6月になりました。毎年この時期になると、高山植物の花を求めて山に行きたくなります。
高山植物の開花はとても短く、学生実習の合間で、梅雨時期に天気の良い日というのはなかなか難しいもので、過去には3年越しになったことも。そういうわけで今年も開花情報と天気予報を見ながらそわそわと待っていました。
今年ぜひ会いたいと思っていたのはツクモグサ。
本州では雪倉岳、白馬岳、八ヶ岳だけに分布しているこの花を見に、八ヶ岳の横岳に登ってきました。
今回はツクモグサが多い横岳周辺が目的地で、日帰り登山のため、杣添尾根登山口から横岳をピストンするコースに。5時過ぎに登山口を出発して歩いていくと、すぐ近くからヒガラやメボソムシクイ、少し離れたところからルリビタキのさえずりが聞こえてきて飽きずに歩けます。コメツガの上の方から普段聞きなれないさえずりが聞こえてきたので、足を止めて探してみるとキクイタダキでした。
登山口から2時間ほどで見晴台テラスに到着。展望が大変良く、富士山、甲斐駒ヶ岳、目の前に赤岳~横岳~硫黄岳に続く稜線が。
ハイマツの中の登山道は所々勾配が急ですが、すぐ近くでさえずるルリビタキの姿を見つつまあまあ休みながら登っていくと見晴台テラスから1時間ほどで稜線上の横岳(三叉峰)の分岐に到着。
そこからは登山道わきに高山植物の花がたくさん。
ミヤマキンバイ、オヤマノエンドウ、コメバツガザクラ、イワウメ、ミネズオウ、コイワカガミ。
そして、会いたかったツクモグサ!
ツクモグサの花は径が2.5–3.5 cmで黄白色。萼片は6個で花弁のように見え、背面には白く長い毛が密生しています。花期の茎の高さは6–15 cm。
全体にフサフサと白い毛で覆われているように見えて、何とも言えない可愛さ。
背景に岩場や山の稜線が見えるのもとても映えます。双眼鏡で探してみると斜面の草地にもたくさんのツクモグサがありました。
近くにはキバナシャクナゲも。
この日は展望もとても良く、目の前には赤岳、権現岳、阿弥陀岳。
奥には富士山、南アルプス、中央アルプス、御嶽山、諏訪湖、北アルプス、黒姫実習場近くの妙高山まで。反対側には甲斐、奥秩父の山々。
時折、岩場ではイワヒバリ、上空にはアマツバメが飛ぶことも。
八ヶ岳は硫黄岳、横岳、赤岳の稜線の縦走も魅力的な山です。
皆さんもぜひ可愛いツクモグサに会いに行ってみてください。
■ 確認した鳥類
アマツバメ、ヒガラ、ウグイス、メボソムシクイ、キクイタダキ、ミソサザイ、
オオルリ、キビタキ、ルリビタキ、イワヒバリ
■ 参考
大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩.2016.
改訂新版 日本の野生植物2 イネ科~イラクサ科.平凡社,東京,640 pp.
(さき)