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2025年 5月 27日

ノビルの花・ムカゴの食べ方

先日の日帰り実習の際に学生から、「ノビルの食べ方を知りたい」とリクエストがあった。

ノビルはヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の多年草で日本全国に分布している。河川敷や公園など、いたるところで見ることが出来る。実習場のある黒姫や増穂にも大量に自生している。春先の柔らかなうちは全草が可食部となる。よく知られている食べ方は下の写真のような鱗茎部周辺で、軽く茹でてから酢味噌で食す方法だ。

ノビルの鱗茎

トウ立ちしていなければ数本をくるりとまとめて縛り、天ぷらにしても美味しい。ニンニクや玉ねぎを生で食せる者ならば、鱗茎や柔らかな葉を細かく刻み、味噌や醤油で和えてそのままご飯に乗せてかぶりつくのも良い。野趣あふれるとの言葉があるが、この食べ方はまさにそれが当てはまる。鼻腔を焼き払うようなツンとした刺激がたまらない。鰹節などを加えれば、もはやご馳走である。

また、主役ではなくなるが、この微塵切りをそのまま薬味としてラーメンや豆腐、納豆に加えるのもお勧めである。

※ノビル初心者やツンとした刺激が苦手な方は、葉の部分を多く利用すると良い。

 さて今回はあまり知られていない食べ方を紹介したい。 今ぐらいの時期(5月後半)になると、程よく育ったノビルから花茎が伸び(トウ立ち)花を咲かせる。

ノビルの花

よく見ると繊細で可憐な花姿である。しかし、こうなってしまうと鱗茎部分以外は口触りが悪くなるからか、食用としては見向きされなくなってくる。

 ここでよくよく花を観察すると、何やら花に混ざりながらたくさんの粒がついている(写真下)。これは花の蕾ではなく『ムカゴ』であり、粒の一つ一つがクローン個体として成長してゆくことが出来る。

ノビルのムカゴ、花

ヤマノイモなどのムカゴはよく知られていて、秋口になると地方の農産物直売所などで取り扱っていることがある。しかし、ノビルのムカゴが商品として取り扱われていたのは見た事がない。

 今回はこの見向きもされないノビルのムカゴの食べ方を紹介したい。

①ノビルの花部分を摘み 

摘んだノビルの花

②ノビルのムカゴをボロボロと分解する。

バラしたノビルのムカゴ

③これを、コメを研ぐ要領で洗い、塵や汚れなどを取り除く

④水気をよく切ってから醤油に漬けて数日置く

醤油漬けにしたノビルのムカゴ

これで完成である。ムカゴの分解が面倒といえば面倒だが、得られる成果を考えれば大したことではない。私は味見と称して次々と食べてしまうため、10日以上は漬けたことはないが、時間の経過とともに風味、食感ともにマイルドになっていく。これは好みかもしれないが、1週間ほどで食べきるのが良さそうである。

このままご飯のお供にするのが最もお手軽であるが、この醤油漬けを様々な薬味として使うのも良い。特に軽く潰してからカツオのタタキに使うと最高である。お試しあれ。

  S田

※※野草採取時の注意※※
①野草の中にはよく似た植物が有毒の場合もあります。はっきりとわかるものだけ採取しましょう。安全なものだと確信が持てないときには絶対に食べないでください。
②安全に採取できる場所を選びましょう。道端や空き地などはペットの糞尿や排気ガスがかかっていたり、除草剤などが使われているかもしれません。また、私有地や採取が禁止されている場所で勝手に取るのはやめましょう。

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