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2017年 10月 16日

東京都高尾におけるムネアカハラビロカマキリについて

今年の1年生にはなかなかの昆虫マニアが揃っています。今回はそのうちの1人のS君から、最近話題の外来種ムネアカハラビロカマキリについて紹介します。

1.ムネアカハラビロカマキリとは
(1)ムネアカハラビロカマキリ(Hierodula venosa)
体長 60~80ミリ前後と大型
近年、分布を広げている外来種のムネアカハラビロカマキリ(以下ムネアカと呼ぶ)は、埼玉県北本市、東京都八王子市、愛知県豊田市、新潟県長岡市などで2000年代あたりから確認されている。
原産国は中国の可能性が高い。侵入経路は不明だが、仮説では庭木や材木等などと一緒に持ち込まれた可能性がある。高尾での観察では、主に樹木の幹や枝などについているのを観察できた。

図1 ムネアカ

(2)ハラビロカマキリ(Hierodula patellifera)
体長40~60ミリ前後で身体は寸胴。比較的、木々がある場所でよく見られる。
樹木の上を素早く歩く。主にセミなどを捕食しているのを観察できる。

図2 ハラビロ

(3)見分け方
ムネアカハラビロカマキリ

図3 ムネアカ(正面)


図4 ムネアカ(背面)

名前の通り、胸が赤く長い。比較的大きい。
威嚇すると腹部に黄色と黒の模様が目立つ。口が黒くない。
前脚のカマの腿節(たいせつ)部分に黄色い小さなイボが8~9個みられる。
翅の白い点が目立たず、翅の色が薄い。

ハラビロカマキリ

図5ハラビロ(腹面)


図6ハラビロ(側面)

中型。胸は赤くなく短い。威嚇しても腹部に模様はみられない。
威嚇すると口が黒い。
前脚のカマの腿節に黄色いイボが3つみられる。
翅の白い部分が目立ち、翅の色が濃い。

2.ムネアカによるハラビロへの影響
私は高尾の多摩森林科学園周辺で昆虫採集をしてきたが、近年、分布を広げているムネアカに対しハラビロが減ってきているようだ。去年、今年と観察に出向いたがハラビロの姿を確認することはできなかった。一方で、ムネアカは去年10匹を確認し、今年は30匹近く確認することができた。なお、在来種のオオカマキリやコカマキリは確認できた。
ハラビロを確認することが出来ない理由について、生態的地位(ニッチ)の観点から考えて見た。ムネアカとハラビロは、樹上で生活するカマキリで、セミを捕食しているため食べ物が被ってしまう。生活場所も同じ樹上で産卵場所も同じであり、ハラビロの幼虫、成虫が体の大きなムネアカに捕食されているのではないかと推測している。このようにニッチが大きく被るため棲み分けが出来なくて、ハラビロが減ったのではないだろうか。
オオカマキリとの関係については、セミがいなくなり、食べ物を求めてマント群落のような低い位置に降りてくるその短い期間だけ、マント群落を主な住処としているオオカマキリとニッチが被るが、食べ物の大きさ、産卵場所等で競争することなく棲み分けることができるのではないだろうか。これからも注意深く観察をしようと思う。


図7 9月27日に撮影したムネアカ。
セミはほとんど鳴いていなかった。ムネアカは人の目線くらいの位置にいた。